難解極まりない超複雑な機械式時計の仕組みを“優しく”解説する『超弩級 複雑腕時計図鑑』がMEN’S EX特別編集によって発売に。ここでは、その中身をピックアップしてご紹介する。
美しく豊かな音が時を告げる革新的ミニッツリピーター
極めて複雑な構造をもつミニッツリピーターを自社で開発・製造できる時計ブランドは、数少ない。
オーデマピゲ時計スーパーコピーそしてそのいずれも、同機構において共通の課題を抱える。腕時計サイズのケースで、いかにして豊かな音量を得るか、だ。ゴングの素材や形状、設置場所などを各社が試行錯誤してきた。創業時からリピーター機構を得意としてきたオーデマ ピゲは2016年、他社とは異なるまったく新しい解決策を導き出した。開発にあたり、スイス連邦ローザンヌ工科大学と共同でメゾンが製作してきたミニッツリピーターの音を解析。美しい音色を探ることから、スタートした。響き方、強弱、長さなど心地よく美しい音色を決める条件は数多くある。ボリュームも重要な要素の一つだ。小さくて音響的に不利な腕時計のケースで、これらをいかに高い次元で実現させるか? たどり着いた答えが、チタンと銅の合金製の音響板と、それを覆う空洞をもつ裏蓋だった。
これまでムーブメントの外周に取りつけられていたゴングを、新たに開発した音響板に設置。ハンマーが打ったゴングの振動(音)に音響板が共鳴し、さらに裏蓋との間の空洞で増幅されて、周囲に設けた穴から外部へと朗々と音色を広げてくれる。しかも装着したままの方が、より音色は豊かになるという。これを名付けてスーパーソヌリ。音は革新したが、機構の基本は、伝統に則る。ゴングはスチール製、リピーターを調速するガバナーも調整が可能な機械式を採用しているといった具合に。と同時に、機械式ガバナーが発する作動音を軽減する新たな形状を考案し、初採用してもいる。
スーパーソヌリは、2016年にロイヤル オーク コンセプトにトゥールビヨンとクロノグラフとともに初搭載され、その翌年に単独で備わる新ムーブメントが誕生。さらに2018年には、その改良型がロイヤル オークに搭載された。それが、本作だ。豊かで美しい音色で時を告げる複雑機構が、アイコニックに装った。
Point 1
チタンと銅の合金製の音響板
通常ハンマーの外側にあるゴングが、写真にないのは、音響板に取りつけられているから。ゴングを設置した音響板は、正確にハンマーが打つ位置に固定される。ゴングの音をより豊かにする合金がいくつも試された。音響板にはパッキンも備わり、防水性もかなえられた。
Point 2
裏蓋との間の空洞で増幅
音響板は、さらに空洞をもつ裏蓋で覆われる。ギターやバイオリンが、弦を中が空洞になった胴に設置することで音を増幅させるのと同じ。音響板に取りつけられたゴングの音に音響板が共鳴し、裏蓋との間の空洞で大きくなる。裏蓋には、ゴングの音波が刻印される。
Point 3
作動音を軽減する新たな形状
機械式ガバナーは、爪で歯車にブレーキをかけて調速する。従来は爪先だけが備わるソリッドな金属パーツだったのを、M状のカーブを描く複雑な形状へと変更。カーブがバネの役割を果たし、歯車との接触音を軽減させた。その姿が、ブリッジの横にわずかに見える。
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